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『知財界人物列伝』装丁画部分 <垂桜花筏椿図絵>の一部(大樹七海 作)
『知財界人物列伝』装丁画部分 <垂桜花筏椿図絵>の一部(大樹七海 作)

 本書『知財界人物列伝』は、知的財産の世界において確かな足跡を残した人物たちの軌跡をたどり、その思想と実践に光をあてる記録集です。
 刊行に先立ち、<第1巻 荒井寿光 伝記>の魅力を余すところなく、お伝えします。


 荒井寿光氏は、未だ整備が整っていなかった日本の知的財産制度に光を当て、その基盤づくりを力強く進めた先駆者です。産業を生み出す人々を支える環境を整え、日本の知財分野の発展に大きな道を開きました。さらに、国際的にも知財制度の向上に貢献し、世界に影響を与えた人物として知られています。

 荒井氏は、世界の指導者からも尊敬される名君・上杉鷹山の言葉「為せば成る 為さねばならぬ 何事も 成らぬは 人の為さぬなりけり」を信条に、特許庁長官として国内外の意識改革を推進しました。国家の繁栄には産業育成と新産業の創出が不可欠であり、そのために必要な知財制度の普及と整備のため、「知財立国」につながる国民運動も展開しました。その後、初代の内閣官房知的財産戦略推進事務局長として、立法・行政・司法と国民の間にある膨大な調整に挑み続けました。省庁間を超えた結束を導き、「知的財産基本法」の成立に尽力し、「知財立国日本」宣言や知的財産高等裁判所の設立など、明治以降の大改革と呼ばれる歴史的な取り組みの実現に大きく貢献しました。
 現在、内閣府が毎年発表する「知的財産推進計画」へと続く仕組みの基礎を築いたのです。

 本書は、荒井氏の人生を通して、日本の産業経済が世界の中でどのように動いてきたかを追体験し、知財国家戦略の立案から「知財立国」第一期の制度整備、そして現在に至るまでの軌跡を描いています。

 読者は、一人称視点の臨場感と、丁寧に付された背景解説をあわせて読むことで、現在の知財界に至るまでの大きな流れを理解できます。
 さらに、法律の草案やその思考過程、国家目標として掲げられている広範で膨大な課題リスト等を掲載し(参考資料に収録)、自分だったらどう立案するか、また自分がどの分野でどのように貢献できるのかを考えるきっかけを得られるように促しています。
 それぞれが課題への理解を深め、課題解決能力を上げ、自身のキャリアの位置づけや進むべき方向を明確にできるようにしています。


 この本は、「ひとりの行動が国を世界を動かす」ことを教えてくれます。
荒井寿光氏は、若い頃から「為せば成る(以下略)上杉鷹山の名言」を胸に、
学生時代よりその高い公共精神-助け合い・協力・思いやりから仲間を力づけ、
その後、日本の知財制度の大改革を支える中心人物になりました。

 国際交渉と日本の貢献、法律改正、組織改革など、
“社会を動かす仕事”のリアルが詰まっています。

将来、社会に貢献したい学生にとって、
キャリアのヒントが見つかる一冊です。


 荒井氏は、強い公共精神を持ち、現場を重視し、徹底したサービス意識で仕事に取り組んできました。通商交渉、エネルギー、防衛、日本貿易保険、知財制度改革など、国家安全保障に関わる難しい政策の整備を長年担ってきた人物です。

 退任後は「知財評論家」として生涯の仕事を定めましたが、その背景には、特許庁長官として進めた内外の意識改革、「知財立国日本」の創設、知財高裁の設立など、明治以来の大改革と呼ばれる制度づくりに深く関わった経験があります。これらの草案作成や制度創立のプロセスは、政治家や行政官にとって貴重なケーススタディとなるものです。

 また、荒井氏が貫いた「サービス精神」と「現場主義」は、国家運営の根幹にある企業経営の成長を支援するための、実践的な経営哲学としても大きな示唆を与えます。

 本書は、「政策を実現・実行するとはどういうことか」という問いに対し、その本質の一端を学べる一冊です。


 本書は、日本の知財制度がどのように整備され、
企業活動を支える基盤がどう作られていったのかを書いています。
 損害賠償額の引き上げや司法改革、産業競争力を高めるための具体的な知財施策・法改正など、企業の知財戦略に直結する制度改革の背景を理解できる内容です。
 知財を競争力の源泉として活かしたい企業にとって、現実のビジネスと法制度の間に生じるギャップに振り回されないために、どのように先手を打つべきかの行動を考える手がかりとなります。


 - ノンフィクション「経済小説」!激動の世界経済と産業政策のダイナミズムを体感。
 ‐小説の主人公も驚くほどの“異例尽くし”の人生!
 - ひとりの人物の歩みがそのまま現代史の裏側を映し出します。

 - 当時の関税交渉や通商問題の激しさは、まさに今の国際情勢と地続き。
 - 歴史がどのように繰り返されるのか、その背景と構造が理解できます。

 - 日本の知財制度がどのように形づくられたのか、その原点と思想を学べます。
 - 初心に立ち返り、未来を担う力を養うためのヒントが詰まっています。

■ 少年期から育まれた信念

 - 小学生からの座右の銘は、江戸時代の財政再建の名君 上杉鷹山の名言
「為せば成る 為さねばならぬ 何事も 成らぬは 人の為さぬなりけり」。
 - ケネディ大統領も最も尊敬した日本人 上杉鷹山の“三助精神(自助・共助・公助)”を体現。

■ 若き日からの熱いリーダーシップと現場観察・人間力

 - 東大文化祭実行委員長行動にみる、温かく共助精神あふれる熱い統率力。 
 -ハーバード大学留学記にみる異文化に対する鋭い観察とユーモアと分析力。

■ 国家を動かす公共精神と実行力

 - 「発言したことは必ずやり通す」強い信念。国民を守るための揺るぎない意志。
 -「神は細部に宿る」を地でいく、政策立案実行のための実務能力と卓越した手腕。
 - 特許庁長官、NEXI初代理事、初代内閣官房知的財産戦略推進事務局長として、現場を動かす統率力。

■ 内外改革を同時に進める行動力

– 「特許庁親切運動」による意識改革、開かれた行政へ。
– 矢継ぎ早に約40年、約80年ぶり等の知財関連法改正を実現。全国行脚し要望を募り、停滞を解消し時代の要請に応える(特許庁長官時代)
– 3年間で4人の首相が交代中に日米通商摩擦の最前線で考えたこと(通商産業審議官)。

■ 明治以来の知財制度大改革『知財立国日本』の幕開け

– 「知財立国日本」に繋がる国民運動。
– 「科学技術基本法」はあっても「知的財産基本法」はなかった!作ろう!
– 日本の法律を作るのは、国際条約を結ぶよりも難しい?!その理由。
– 内閣に「知的財産戦略本部」設置の意義。
– わが国初「知的財産推進計画」の誕生、その画期的かつ前代未聞の規模に渡る検討過程。
– 難産だった戦後初の裁判所改革「知的財産高等裁判所」設立。

-知財を初めて“国家戦略”として位置づけ、「国家百年の計」を実行に移す。
-読者自身が「自分はどの分野で、どの方向性で知財に貢献できるのか」を考えるための思考訓練ができるように、巻末には、法律試案や課題リストなど役立つ参考資料を収録。